withコロナで勝ち負け鮮明 飲食店はどう生き抜いているか

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 外出自粛や接触機会の減少など、新型コロナウイルスの感染拡大防止により多大な打撃を受けた飲食業界。先月からは「Go To Eatキャンペーン」が実施されているが、客足の戻り、経営状態はどうなっているのか。まずは、東京都心でイタリアンやビストロなどを5店舗運営しているオーナーのMさんに現状について話を聞いた。

■継続か閉店か…どちらも地獄

「緊急事態宣言中は売り上げがほぼない状態で、最近になって全体の売り上げがコロナ前の5割程度戻ってきたところです。その間、1つの店舗をクローズさせました。また、東京駅近くの大型オフィスビルに入る店舗は、一番の稼ぎ頭でコロナ以前は月商が800万円ほどありましたが、今は最も売り上げが減っていて8割減といった状況です。立地がオフィス街にあるという点が主な要因で、ランチの時間帯は在宅勤務の影響がまだあるものの、少し戻ってきた感じです。しかし、夜は接待や会食の制限などの影響で依然回復が弱いです。このテナントは4月以降、家賃を半額にしてもらっていましたが、それも10月で終わりです。ありがたい措置でしたが、今のままだと従来の家賃はとても支払えない状況です。かといって、10年契約になっているので、中途解約をすると残りの年数分の家賃を違約金として支払わなければなりません。違約金を支払うことになると倒産を選択しなければならないでしょう。残るも地獄、去るも地獄という感じで、今後の対応に苦慮しているところです」

 東京のど真ん中で多くの大企業がオフィスを構え、賃料が高いオフィスビルに出店しているにもかかわらず、夜間だけでなく昼間の人口も激減し、その集客効果はほとんど消失しているという。売り上げがなくなった分をカバーすべく、デリバリーやECにも着手しているが、当然、それだけで家賃や人件費などの固定費が賄えるわけではないという。

中価格帯、大箱の居酒屋ほど現状は厳しい

「持続化給付金等の国の補償も受けましたが、焼け石に水にもなりません。シンガポールに出店している知人の話だと、テナント会社は飲食店からは家賃は取らないで、その分を全額国が補償する方針をとっているようです。実質の売り上げはマイナスですが、そのおかげで収支はプラスになっていると聞きます。しかも、即金で振り込まれるそうです。海外と比べると日本の補償は飲食店の経営をやめるように促しているとしか思えないですね」

 国からの給付のほか、Mさんの会社でも日本政策金融公庫からの融資を受けたが、2回目以降は融資のハードルが高くなっているという。

「飲食業は完全に足元を見られていて、よく今は目をつぶっても貸してもらえるなんて言われていますが、そんなことは全くないですね。今後、売り上げ回復の見込みが少ない業種への融資は厳しくなっているのを感じます」

 Mさんは、先月から始まった「Go To Eatキャンペーン」に、いちるの望みを託している。今、客足の戻りが悪いのが、Mさんが経営する店のように、夜の客単価が5000~1万円の中価格帯で飲み会利用の多い飲食店のほか、客席数の多い大箱の居酒屋やダイニングレストランだという。

地元密着の居酒屋、客単価2万円以上の高級店は健闘

「居酒屋やダイニングレストランを全国に展開しているある外食チェーンは、1000以上ある店舗のうち、300近くを閉めています。それでも毎月5億円以上の赤字が出ていて、数十億円単位の融資を受けながらなんとか運営していると聞いています。主に大箱の店を多業態、多店舗展開している大手の外食企業が今最も苦しい状況で、倒産が噂されている会社もあります」(市場関係者)

 その一方で客単価2万円以上の高級店のほか、下町などに古くからある常連客の多い個人経営の居酒屋などには客が戻り始め、なかにはコロナ前を上回る売り上げを出している店もあるという。

「もともと予約が取りづらい一部の高級店には客が戻り始めているようです。こうした店はある程度決まった層しか訪れず、衛生面でも安心して食事を楽しめるので、富裕層の会食の場に選ばれやすいのだと思います。客単価3万円のある和牛料理専門店はカウンター8席のみで月商1000万円を超えたという話も聞きました」(外食業に詳しいジャーナリスト)

 自粛期間を経て、リアルに人と飲み食いをしたいという欲求に応えられ、食材や料理に他の店にはない特徴があって、料理人とのコミュニケーションを楽しみにしている常連客の多い飲食店には、ウィズコロナでも多くの客が訪れている。飲食業界も浮かぶ店、沈む店の二極化が著しい。

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