大手企業の不動産売却が加速 コロナ禍を契機に一変し前年比33%増
電通グループ、エイチ・アイ・エス、IHIなど大手企業が本社ビルや所有する不動産を売却する動きが加速している。2021年上半期(4~9月)に国内不動産を売却した東証1部.2部の大手上場企業は36社と、前年同期(27社)を33.3%上回った。36社のうち赤字企業は15社と4割を超えた(東京商工リサーチ調べ)。
「コロナ禍で業績が悪化し、資産売却で財政改善を図る企業が目立ちます。250億円超えの赤字を出したエイチ・アイ・エスは本社を324億円で売却後、賃貸契約で事務所として使っています。オンワードホールディングスも渋谷区代官山と港区芝浦に所有する不動産をそれぞれ70億円、約115億円で売却しています。電通は本社ビルを売却、890億円の譲渡益を得ています」(同社情報本部の松岡政敏課長)
この他にもIHIは愛知県知多市の土地約39万平方メートルと横浜市金沢区の土地約2万7000平方メートルを売却し215億円の譲渡益を計上。印刷機の製造・販売を行う小森コーポレーションは、千葉県野田市に所有する約5万6000平方メートルの土地を売却し31億円の譲渡益を上げた。