「リースバック」で騙される高齢者続出の深刻…家を追い出されるケースも
持ち家に関するトラブルが頻発している。国民生活センターによると、昨年度の相談件数が2019年度の10倍程度まで増えているのが、「住宅のリースバック」関連だ。
リースバックは自宅を売却すると同時に賃貸借契約を結び、家賃を支払うことで住み慣れた我が家で暮らし続けられるというもの。自宅売却によって住宅ローンを完済し、捻出した資金で老後の生活費を工面できるほか、特に単身者にとって生前に資産整理できる利点も大きい。
高齢になってから持ち家を売却してしまうと、新たに賃貸物件が借りづらくなるが、リースバックなら引っ越しや固定資産税の支払いが不要。需要は増加傾向にある。
しかし、相談者の7割超が70歳以上で、認知症の高齢者が強引な勧誘や、相場より大幅に低い売却価格で契約を結ばされるほか、定期借家契約によって更新時に家賃が値上げされるなど、大家の意向で中途退去を余儀なくされるトラブルも見られる。クーリングオフができず、元に引き返せないのも盲点だ。
「リースバックはエリアや物件の築年数や状態によって売却額が左右されます。人生100年時代と言われる中、契約者が亡くなるのが5年後か20年後か分からない上、亡くなった時の不動産市況が不透明であるなどのリスクから、現状の相場より大幅に安い金額が見積もられる。普通に売却するより不利な条件になってしまいます。地方都市や交通利便性の悪いエリアの物件だと、査定額はより低くなると思われます」(不動産アナリスト・長谷川高氏)