重道武司
著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

日本原子力発電は“ぼったくりバー”? 2カ所とも稼働停止なのに1000億円の売り上げで黒字

公開日: 更新日:

「原子力ムラのぼったくりバー」。電力業界関係者らの間ではこんな皮肉も飛び交う。日本原子力発電──原電のことだ。

 東京・上野に本店を置く原発専業の卸電気事業者で、茨城県東海村と福井県敦賀市の2カ所に発電所を持つ。ここで発電した電気を東京電力ホールディングス(HD)をはじめとした電力大手に売って収益を稼ぐというのがビジネスモデルだ。

 だが、どちらの原発も2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発の過酷事故以降、稼働停止中だ。要するに現時点では売り物となる商品が何もない。にもかかわらず、この会社は毎期1000億円前後の売上高を着実に計上し、しかも黒字を維持し続けているのである。

 先週18日に発表された23年3月期決算も減収減益とはいえ売上高は921億円(前期比0.9%減)。9億円弱の特別利益を計上したこともあって最終利益18億円(同25.1%減)を確保した。6年連続の黒字だ。

 なぜこんな芸当が可能なのか。その“からくり”が「基本料金」と呼ばれる料金体系だ。原電と電気の供給契約を交わしている電力大手5社(東電HD、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力)は購入した電力量が仮にゼロであっても毎年一定の料金を原電に支払い続けなければならないような仕組みになっているのである。これが原電の経営を支えているわけで、今や「(原電に対する)一種の支援金・寄付金と化している」(東電HD関係者)と言ってもよい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ジャニー喜多川氏の性加害を暴いた“禁断の書”の中身…超人気アイドルが「ジャニーさんが、ジャニーさんが…」

    ジャニー喜多川氏の性加害を暴いた“禁断の書”の中身…超人気アイドルが「ジャニーさんが、ジャニーさんが…」

  2. 2
    香川照之はなぜ銀座で足を踏み外したのか…スポンサー筋の“配慮”でエスカレート?

    香川照之はなぜ銀座で足を踏み外したのか…スポンサー筋の“配慮”でエスカレート?

  3. 3
    市川猿之助はジャニー喜多川と同じだったのか、それとも伊丹十三か?

    市川猿之助はジャニー喜多川と同じだったのか、それとも伊丹十三か?

  4. 4
    北公次は性被害とアイドルからの凋落で壊れていった…ジャニー喜多川氏からは花輪も届かず

    北公次は性被害とアイドルからの凋落で壊れていった…ジャニー喜多川氏からは花輪も届かず

  5. 5
    花巻東・佐々木麟太郎は清宮タイプ? 3試合連続の通算134本でも「ドラ1指名」が困難なワケ

    花巻東・佐々木麟太郎は清宮タイプ? 3試合連続の通算134本でも「ドラ1指名」が困難なワケ

  1. 6
    岸田翔太郎氏の公邸記念撮影 首相「報道で認識」でまさかの「建造物侵入罪」成立の可能性

    岸田翔太郎氏の公邸記念撮影 首相「報道で認識」でまさかの「建造物侵入罪」成立の可能性

  2. 7
    大谷翔平がプレーするメジャーでは常識? 球団がトップ選手を守る“夜のプライバシー管理”

    大谷翔平がプレーするメジャーでは常識? 球団がトップ選手を守る“夜のプライバシー管理”

  3. 8
    小林麻央さんが市川海老蔵に「本当に電話番号おしえて…」と切実な訴え

    小林麻央さんが市川海老蔵に「本当に電話番号おしえて…」と切実な訴え

  4. 9
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  5. 10
    福山雅治「ラストマン」好視聴率も追い風に 堺雅人「VIVANT」早くも“初回20%超”期待の根拠

    福山雅治「ラストマン」好視聴率も追い風に 堺雅人「VIVANT」早くも“初回20%超”期待の根拠