著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

米住宅メーカーを巨額買収した積水ハウスの大勝負 約7125億円は“高値掴み”か

公開日: 更新日:

 とはいえ市場関係者の間では「高値掴み」観測が消えない。積水側は「昨今のM&A相場を踏まえれば適切。(買収価格は)直近のMDCの株価に対しプレミアムも19%しか乗せていない」(首脳)と反論するが、90日間の加重平均株価と比べるとプレミアムは41%。MDCの1株純資産に対しては約1.5倍に跳ね上がる。

 財務の負担も重い。23年1月末時点の積水の有利子負債残高は6071億円。稼ぎ出す現金で借金を何年で返せるかを示すEBITDA有利子負債倍率は1倍を下回っていた。それが買収資金の借り入れなどで有利子負債は約60億ドル(8700億円)膨張。EBITDA有利子負債倍率は3倍に悪化する。のれん償却負担や減損リスクも負う。

 機関投資家筋の間では「大型買収の経験に乏しい積水がMDCをうまくコントロールしていけるのか。運営面の不安もある」といった声も飛ぶ。

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