著者のコラム一覧
宮田律現代イスラム研究センター理事長

1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。

カルロス・ゴーン氏に迫るフランス当局の"包囲網" ヒズボラとイスラエル間で高まる緊張が影響

公開日: 更新日:

 しかし昨年10月、レバノン政府はゴーン元会長に対し、現在住んでいる豪邸からの退去命令を出した。この邸宅はゴーン元会長が自らの保養の目的で日産自動車が購入したもので、レバノンの首都ベイルートの閑静な丘の上にある住宅・商業地区にあり、街路樹が整然と立ち並び、周辺にはオスマン帝国やフランス様式の高級住宅も少なくない。ABCモールなど大規模な商業施設とともに、ブランドものの高級衣料品を売るブティックも数多くあり、東京でいえば、表参道のようなところだ。ゴーン元会長に対する立ち退き命令が出されたということは、元会長のレバノン政界や社会における影響力の低下を如実に物語る。手持ち資産が目減りして、レバノン政界に対する工作が不可能になりつつあることも表している。

■レバノン国民の8割がハマスによるイスラエル奇襲を支持

 冒頭で述べたように、現在レバノンはイスラエルと緊張状態にある。イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は2月3日、ヒズボラとの全面戦争を辞さない構えを示した。イスラエルが懸念するのはハマスのガザでの戦争に呼応してヒズボラがイスラエルに攻撃をしかけることだ。2月5日、レバノンのアブダッラー・ブハビーブ外相は、ハマスの奇襲攻撃があった10月初旬以来、イスラエルのレバノン南部への攻撃によっておよそ10万人が国内避難民になったことを明らかにした。2006年にイスラエルとヒズボラが本格的戦闘を行って以来のイスラエルによる最大規模の攻撃になり、ブハビーブ外相の発言があった2月5日までにヒズボラの戦闘員182人が殺害されたほか、民間人30人が犠牲になっている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    渋野日向子に「ジャンボ尾崎に弟子入り」のススメ…国内3試合目は50人中ブービー終戦

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  5. 5

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  1. 6

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  2. 7

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  3. 8

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    沢口靖子も菅田将暉も大コケ不可避?フジテレビ秋ドラマ総崩れで局内戦々恐々…シニア狙いが外れた根深い事情