著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

創業者に特別功労金31億円…パルグループが「井上英隆イズム」を継承するのは容易ではない

公開日: 更新日:

 パルグループの24年2月期の連結売上高は1925億円、連結営業利益186億円、連結雇用者数7000人を超える企業グループへ発展させた。趣味の囲碁はアマ2段の腕前だ。

 井上氏は昨年3月、創立50周年を花道に会長を辞し、相談役に退いたが、「引き際は見事だった」(取引先銀行幹部)という。紳士服の営業で頭角を現した松尾勇副社長を後任会長に据える一方、長男で現社長の井上隆太氏の代表権を外したのだ。

 この異例の人事について井上英隆氏は、「今後の経営の責任者は松尾氏であると明確にしたい。井上家は社内から経営を監視する役目を果たす」と説明した。執行は優秀な生え抜き社長に託し、井上家はガバナンスに徹するというわけだ。

■変幻自在だった「井上イズム」

 井上氏の経営は変幻自在だ。「羅針盤」となるのは井上氏が経験則から作り上げたトレンド周期表「パルマップ」だ。ブランドの流行時期を記録していくと、ほぼ12年で一巡することが分かったという。これに基づき、次にどんなブランドが求められるかを予測している。年4回ほど開かれるマップ会議では、井上氏を筆頭に役員やブランド担当者が集まり、どのブランドに注力するか戦略を練る。社員からの提案で開発したブランド数は50以上に及ぶ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋