早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている

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 パナソニックホールディングスの楠見雄規社長は2月4日の24年度決算発表で、増収増益の順調な決算ながら、「経営状況は決して満足のいくものではなく、むしろ強い危機感を持っている」とし、グループ全体の構造改革についてこう指摘している。

「事業会社制に伴い、各事業会社が個別に間接機能を強化した結果、いまグループ全体で固定費の増加が利益を圧迫している。最優先で手を打つべきは、とくにこの間接機能における業務の集中・集約とモダナイゼーションです」

 そして、「各事業会社や分社の本社・間接部門コストを大幅に削減することで、グループ全体で本社・間接部門を中心に本当に必要な仕事を見極め、人員を適正化していく」。

 同社は先週9日、全体のおよそ5%に当たる1万人規模の人員削減を行う方針を明らかにした。

 昨年11月に人員削減を発表した日産はその後動きがない。25年3月期の赤字は最大7500億円と発表されたが、9000人削減は2月の800億円の赤字予想を前提にした数字だ。過去最大の赤字見通しから、人員削減が9000人で済むとはとても思えない。

 これまで技術開発に遅れてきた途上国のスピードは速まっている。構造改革を進める大手企業の人員削減の広がりは、日本がこれまで培ってきた製品、技術、開発力の優位性が失われることへの危機感に他ならない。

(ジャーナリスト・木野活明)

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