21年ぶりの米拠点開設で思い出す…りそな銀行誕生のキッカケになった巨額損失事件
りそな銀行は4月25日、米西部カリフォルニア州ロサンゼルスに駐在員事務所を開設した。米国に進出している取引先約1200社を中心に、「販路拡大の支援、現地の企業や各種コンサルタント、提携銀行等の紹介等を通じて、顧客の米国における事業展開を後押しする」(りそな銀行幹部)のが狙いだ。
りそな銀行はアジアでは、中国(香港、上海)、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン)に駐在員事務所、インドネシアに現地合弁銀行「りそなプルダニア銀行」、シンガポールに現地法人「りそなマーチャントバンクアジア」を持つが、金融の先進地域である米拠点の復活は、ニューヨークから撤退した2004年以来、実に21年ぶり。それだけに今回のロサンゼルス駐在員事務所の開設は感慨深いものがある。
思い出されるのは、りそな銀行の前身である大和銀行のニューヨーク支店で1995年に発覚した巨額損失事件だ。
後に書籍としても出版された事件の発端は、現地採用のトレーダーだった井口俊英が、1983年に変動金利債の取引で5万ドルの損害を出したことに始まる。損失が発覚して解雇されることを恐れた井口は、損失を取り戻そうと米国債の簿外取引に手を染める。意に反して損失は雪だるま式に拡大していったが、井口は書類を偽造して隠蔽。不正は12年間も発覚せず、1995年には損失額は当初の2万倍以上の11億ドル(約1100億円=当時)にまで膨れ上がった。