算入改定GDP「水増し」を憂う
単なるカサ上げは本末転倒
何がナンでも、リセッション(景気後退)入りの汚名を拭い去った印象だ。7~9月期の実質GDPが2次速報値でプラスに転じた。伸び率は前期比年率1.0%増。先月の1次速報値の0・8%減から大幅な上方修正である。
実質GDPが4~6月期に続き、2四半期連続でマイナス成長に陥れば、安倍政権が「緩やかな回復が続いている」と言い張っても、国際社会はリセッションとみなす。今回の上方修正によって、景気後退の懸念を払拭したわけだが、数値の押し上げに大きく寄与したのは「企業の設備投資」だ。1次速報値では1.3%減と2四半期連続のマイナスだったが、2次速報値では0.6%増と驚異的に伸び、プラスに転じた。
安倍首相が「官民対話」で、財界トップに設備投資を迫ったことが功を奏したのか。それとも、GDPをまとめた内閣府が首相の意向を反映させたのか。むろん、これは冗談半分ではあるが、それにしても数値の極端な上振れは統計への不信感を招きかねない。