備蓄米21t放出“真の狙い”は自民党の大票田「JA」救済…夏の参院選を意識した一時しのぎの姑息

公開日: 更新日:

 あまりにも遅きに失した決断であり、効果も未知数だ。農水省が政府備蓄米の2割強に相当する21万トンを放出することになった。コメ価格の高騰にようやく重い腰を上げたようにみえるが、視線の先に消費者はいない。備蓄米放出の狙いはズバリ、夏の参院選対策だ。

  ◇  ◇  ◇

 これまで備蓄米放出は大凶作などに限り、コメ流通の目詰まりを理由としたのは初めて。入札に参加できるのは大手集荷業者のみ。年間の玄米仕入れ量が5000トン以上、卸への販売計画・契約があることなど条件のハードルは高く、主に全国農業協同組合連合会(JA全農)が買い手となる。

 店頭からコメが消えた昨夏の「令和のコメ騒動」の時でさえ放出を渋ったのに、方針を大きく転換させたのはなぜか。背景にあるのはJA全農の苦境だ。コメを十分に確保できず、悲鳴を上げていたのだ。理由は争奪戦の激化である。

 かつてはJA系の組織がコメの生産量全体の半数近くを買い取っていたが、近年は農協を通さず、小売業者や個人に直販するコメ農家も増えている。流通の多様化に加え、昨夏からの米価の高騰以来、多くの業者が産地調達に走った。JA全農も2024年産の買い上げ価格(概算金)を4~5割ほど引き上げたが、アップ分は追加で支払う仕組みだ。

「コメ農家にすれば追加払いの見込みがあっても、すぐ高値で買ってくれる業者に売ってしまいがち。価格競争に敗れたJAは、昨年末から出荷先に契約数量が確保できないとの異例の通知を出すなど、窮地に立たされていました」(農政関係者)

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  2. 2

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 3

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  4. 4

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  5. 5

    「おこめ券」に続き“やってる感”丸出し…鈴木農相がひっそり進めるもう一つの肝いり政策

  1. 6

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  2. 7

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  3. 8

    維新が手にする血税は33億円…定数削減へチンピラまがいの圧力、税金原資にキャバクラ&ショーパブ代支出の疑い

  4. 9

    レーダー照射で日中対立激化…習近平指導部による「高市威圧」次のシグナル

  5. 10

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも