備蓄米21t放出“真の狙い”は自民党の大票田「JA」救済…夏の参院選を意識した一時しのぎの姑息

公開日: 更新日:

主食用に回せる量が不足している可能性も

 24年産の生産量は前年よりも18万トン多くなる見込みだが、JA全農など大手集荷業者が確保できた量は前年同期より21万トン少ない。この「消えた21万トン」と同量の備蓄米を放出すれば、JAは潤う。その分、コメの販売量は増え、確保難でアテにできなかった販売手数料収入も補える。

 JA系の政治団体は古くからの自民党の集票組織。備蓄米放出は、夏の参院選に向けた「票田」救済の側面もあるのだ。

「今回の備蓄米放出は、原則1年以内に放出量と同量を買い戻すことが大前提。いずれ供給量が減ることを市場に織り込まれると、米価の引き下げ効果は薄まります」と言うのは、東大大学院教授の鈴木宣弘氏(農業経済学)だ。こう続ける。

「政府はいまだ『コメは余っている』との認識ですが、皆『品薄』を感じているから米価は高騰しているのです。昨年の猛暑のため、白く濁ったり、ひび割れしたりと低品質のコメが増え、主食用に回せる量が不足している可能性もある。原因分析を怠り、流通業者に責任転嫁するのはお門違い。長年の減反・水田潰し政策で『時給10円』と言われるほど疲弊しきったコメ農家の生産環境を改善しない限り、根本的な問題は解決しない。備蓄米放出は単なる一時しのぎに過ぎません」

 生産者・消費者不在の発想は許されない。

  ◇  ◇  ◇

 政府はようやく備蓄米の放出を発表したが、米騒動は収束するかと思いきや、そうはならないという。●関連記事『【もっと読む】備蓄米放出でも政府はコメ価格を下げる気なし…識者が見解「相場を維持したい」思惑とは』で詳報している。

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?