<第1回>逸ノ城と角界をつないだ「モンゴルルート」の深淵

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 本名アルタンホヤグ・イチンノロブ、しこ名は逸ノ城(21)。彼が来日したのは現地の中学校卒業後だ。モンゴルの大草原で育った少年は鳥取城北高校に入学し、相撲に精進。相撲ファンでなくとも、その名を知らない者はいない力士に成長した。

 92年に元旭鷲山(41)、旭天鵬(40)らが来日してから23年、いまや土俵はモンゴル人力士が席巻している。彼らはいったい、どのようなルートで日本に来て、相撲部屋に入門するのか。

 逸ノ城が卒業した鳥取城北高校相撲部は、その有力ルートのひとつだ。これまで輩出したモンゴル人力士は5人。一見、少ないように見えるが、親方たちの眼鏡にかなわなかったモンゴル人を含めるとその数倍は入部している。

 それだけ数を集められるのは鳥取市とモンゴルの首都、ウランバートルが姉妹都市だからだ。そのため、日本での出世を夢見る者が留学生としてやってくる。入学するのは現地のセレクションで選抜された者たちだ。

 角界の事情に詳しい関係者が言う。

「相撲部の石浦監督は頻繁にモンゴルに視察に行くほど熱心。鳥取城北高校時代の元琴光喜を指導した監督とあって、親方衆も一目置いている。中には3年指導してもモノにならないモンゴル人もいるが、『これは』と思った力士が育てば、外国人力士がいない部屋に連絡して売り込む。現在は1部屋につき、外国人力士1人の枠がありますからね。逸ノ城もそうした経緯で湊部屋に入門した。湊親方(元幕内湊富士)は紹介されるまで、逸ノ城の名前も顔も知らなかったはずです」

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