リオ五輪出場かマスターズVか 錦織圭を悩ます周囲の思惑

公開日: 更新日:

■助成金に依存

 しかし、テニス協会にとっては錦織の事情より何より五輪が大切ということになる。

 強化の拠点を国立スポーツ科学センター(JISS)やナショナルトレーニングセンター(NTC)の施設に頼り、JOCの助成金にも依存している。他の競技同様、五輪への貢献度、すなわちひとりでも多くの選手を五輪に送り込み、なおかつメダルを獲得して初めて実績が認知され、カネも施設も満たされるからだ。

 だからこそ協会は「愛国心」や「日の丸」をエサに錦織を五輪に出場させたいし、五輪を盛り上げて商売につなげたいスポーツマスコミはまるで協会のたいこ持ちみたいに錦織の「五輪出場」をあおっている。この日の記者会見で錦織の「あんまり出たくない」というコメントを「冗談ぽく」とか「冗談めかして」と表現したマスコミが多かったのも、それが錦織の本音であっては都合が悪いし困るからだ。

 錦織は脇腹の状態を考えたら、できれば五輪はパスして前後の2試合に集中したいに決まっている。しかし、愛国心をくすぐられ、テニス協会の思惑をむげにするわけにもいかず、ここで「五輪には出ません」と言うことができない。NTCやJISSを利用することもあるだけになおさらだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋