炎天下の東京五輪マラソン 専門家が懸念する腎臓ダメージ

公開日: 更新日:

 ペルシャ軍を破ったギリシャ軍の兵士がマラトンからアテネまで約40キロの道のりを走って、勝利を伝令した直後に亡くなった。これが最初のマラソンランナーといわれている。

 東京五輪の男女マラソンはスタート時間が午前7時30分から7時に繰り上がった。それでも命の危険が伴う酷暑の中で行うことが予想される。レース中、またはゴールした瞬間に倒れ込み、そのまま息を引き取る悲劇は避けなければならない。命は落とさなくても、専門家が心配しているのが、熱中症による腎臓へのダメージだ。

 寺田病院名誉院長の澤井廣量氏が言う。

「熱中症は、暑さが原因で起こる健康障害のことです。体内の水分や塩分が汗となって大量に排泄され、その補給ができないと脱水症になる。体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節の機能が働かなくなると、めまい、立ちくらみ、けいれん、頭痛、意識障害などの症状を起こします。軽度の症状でも甘く見てはいけません。涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめる。エアコンや扇風機で体の熱を逃がす。ナトリウムイオンなどの電解質を含んだスポーツドリンクや経口補水液などを少しずつ飲ませる。水分を口にできないようであれば、すぐに救急車を呼んでください。しかし、母国開催の東京五輪は、国民の期待の大きさが違います。日本選手は体に異常を感じても簡単に途中棄権はできないでしょう。それが内臓、特に腎臓に過度の負担をかけることになるのです」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ