武田薫
著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

テニス協会はバインをナショナルコーチに招聘したらどうか

公開日: 更新日:

 この件に関し、日本テニス協会は蚊帳の外だった。日本帰属を強調するあまり、大坂の優勝は協会の貢献とゴマをすり上げた新聞各紙はほうけているが、全豪オープン後の女子の国別対抗戦フェド杯で、日本はナンバーワン、ナンバー2を欠いたスペインにホームで逆転負けしている。大坂の協会帰属を主張するのは結構だが、彼女を除けば100位以内の日本選手はゼロだ。ナンバー2の土居美咲は120位だ。これまで日本選手の壁になってきたのは世界ツアーとの情報差だった。80年代の井上悦子以降、経験が希薄なまま世界を回るというハンディに、保守頑迷な協会は目を向けようとしなかった。いまが打開のチャンス。暇になったサーシャをナショナルコーチに招聘して大坂の指導への貢献に報い、同時に、後進の育成を託してはどうか。

 サーシャはセリーナのチームの一員として過ごした8年間の体感情報をもとに、大坂の潜在能力を引き出し、その手腕を協会幹部は間近に見てきた。まして、ワイドショーでマツコ・デラックスとでも十分に渡り合える濃いめのキャラだから、テニスの一般普及にもかなり役立ちそうだ。

 問題は大坂なおみの後任コーチになる。時代をつくる仕事に関心を持つコーチは大勢いるが、海外のテニス記者の中には「今回は成功直後の解任で、高圧的な印象は拭えない。若いコーチは躊躇するのでは」と危ぶむ声もある。大坂なおみは未完の女王。コーチ不在では糸の切れた凧になる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

  3. 3
    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

  4. 4
    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

  5. 5
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  1. 6
    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  2. 7
    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

  3. 8
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  4. 9
    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異