著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

最後の仕事は「トヨタ」のネームバリューにこだわった

公開日: 更新日:

 大分中村病院の院長でもある中村裕は、授産施設の「太陽の家」を率い、オムロン太陽、ソニー・太陽、ホンダ太陽、三菱商事太陽などの共同出資会社を次々と設立し、身障者を社会復帰させた。理念の「保護よりも機会を!」を実行したのだ。

 その最後の仕事は、鬼籍に入る3カ月前の1984年4月。愛知県蒲郡市に「愛知太陽の家」を開所し、トヨタ系列のデンソーとの協同出資会社「デンソー太陽」を設立した。

 ところが、中村は不満だった。当時の「太陽の家」の職員が証言する。

「中村先生はデンソーではなく、“トヨタ”のネームバリューに執着し、『トヨタ太陽』にしたかった。デンソーには失礼だけど、先生は『車に乗らん人でもトヨタは知っとるけど、車に乗っとる人でもデンソーは知らん』と言っていた。とにかく、トヨタにこだわっていた」

 そのためどうしたのか。

「先生は当時の愛知県議会議長に『私は県知事とトヨタの社長との3者で話し合いたい』と頼み込んだ。まあ、トヨタ側は社長ではなく、渋々副社長が出てきた。当然、先生はトヨタの名前を出すことを主張したんだが、副社長は『トヨタには身障者ができる仕事はない』と即答してきた」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか