五輪マラソンコース決定の裏にあるIOCの打算・反発・思惑

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 やっと決着だ。

 札幌開催となった東京オリンピックのマラソンコースが決まった。札幌市中心の大通公園を発着とし、北海道マラソンのコースをベースに約20キロを1周した後、約10キロを2周する変則ルート。20キロ2周を推す組織委員会と、7キロ6周を曲げない世界陸連が歩み寄った形となった。

 この報道に陸連副会長やAIMS(国際マラソン・ディスタンスレース協会)会長などを歴任した帖佐寛章氏(現陸連顧問)は、「近代五輪のマラソン競技は、ギリシャの職業伝令がマラトンからアテナイまで走って勝利を伝え、息絶えたという伝承に由来する。だからワンウエーのコースで行うのが基本。10キロだろうが、20キロだろうが周回コースはマラソンじゃない。『42.195キロロードレース』と名称を変えるべきだ」とオカンムリだ。

■分散開催への前例づくり

 札幌のマラソンコースの決定がここまで遅れたのは、世界陸連があくまでも7キロ6周案にこだわったからだ。それは陸上競技の統括団体である「自分たち」を蚊帳の外に置き、IOCと東京五輪組織委員会で札幌移転を進めたことに対する“嫌がらせ”との見方もあるが、今回の札幌分散開催にはIOCの思惑が透けて見える。

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