著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

「田嶋会長と森保監督がやりやすくなるなら自分が矢面に」

公開日: 更新日:

 2008年北京五輪の代表チームを指揮した後に湘南、松本山雅を計11年間率いた反町康治氏(56)。J1昇格請負人のイメージが強かった彼が、日本サッカー協会(JFA)の技術委員長に就任するという報が流れたのは3月のことだった。新型コロナウイルスの感染・拡大でサッカー界の活動がストップする中、新技術委員長は何を考え、どんな策を練っているのか――。

 ◇  ◇  ◇

■自転車操業

「3月から自宅に待機していたけど協会、Jリーグのウェブ会議が目白押し。資料も多いし、家の(パソコンの)プリンターのインクがすぐなくなっちゃう。だけど外に買いに行けないから、ネットでひっきりなしに注文してた(苦笑い)。特別指定選手の承認とかS級指導者ライセンスの認定などの事務処理もかなり多い。会社だと朝、行ったらハンコ待ちの書類がたまってることがあったけど、それと同じでまるで自転車操業(笑い)。本当にサラリーマン時代に戻った感じだよ」

 昨年末に8年、指揮した松本の監督を退いた反町氏の去就はサッカー界の注目の的だった。2月上旬の時点では全くの白紙。松本のアドバイザーやDAZNの解説者を務める可能性もあった。そんな矢先の2月半ば、田嶋幸三JFA会長から予期せぬ打診があった。

「正直、最初は抵抗感があった。60歳までは現場でやりたいなと考えていたし、青い芝生に立って大勢の観衆の中で指揮を執るのは、何事にも代えられない部分があるからね。それでも『日本サッカーの強化、指導者養成、育成、そして普及の4本柱の舵取り役を任せたい』という田嶋さんの気持ちに応えたいと思った。自分が前面に出れば、何かあっても田嶋さんもバッシングを受けなくなるしね(笑い)。森保(一=日本代表)監督もそう。仕事がやりやすくなるんであれば、自分が矢面に立つのは一向に構わないよ」と冗談交じりながら、強い決意表明をしてみせた。

黒子に徹する

 関係者の間では「ソリさんはもう現場に見切りをつけたのか」といぶかる声も聞こえてくる。

 本人は「西野(朗=タイ代表監督)さん、霜田(正浩=山口監督)さんみたいに技術委員長の後に現場に戻った例もあるからね。技術委員長は責任ある立場だし、結果が出なければどうなるか分からない」という表現で現場復帰に含みを持たせた。が、今はあらゆる雑音を封印し、日本サッカー界発展のために全身全霊を尽くす覚悟だ。

 ひとつ気になることがある。前技術委員長の関塚隆ナショナルチームダイレクター(ND)とのすみ分けである。反町氏が言うように技術委員長は4本柱を統括し、今後の方向性を考えていく立場である。一方の関塚氏は、A代表と東京五輪代表の強化だけに専念するという。代表強化や監督人事に携わるという点では共通している。2人がどう連携して仕事を進めていくのか? 今後の大きなテーマだろう。

「五輪とA代表の日程が重複する場合、自分が五輪、関さんがA代表に行くといった役割分担はできると思う。ただ高校総体とか全国少年サッカー大会が同じ日程なら、僕はあえてそっちを優先するかもしれない。縁の下から日本サッカーを支える黒子に徹したいというのが、今の本音です。育成や普及も課題が多いし、全体をしっかり見ていくつもりでいます」

 指揮官時代のように「人前で発言する回数は減る」と本人は言う。

 しかし反町氏のストロングポイントのひとつである〈発信力〉を有効活用しつつ、コロナ禍で苦境に直面する日本サッカー界を盛り上げていってほしい。 (あすにつづく)

○そりまち・やすはる 1964年3月8日生まれ。埼玉県出身。元日本代表MF。静岡・清水東高から1浪して慶応大。全日空に総合職として入社。93年Jリーグ元年に<サラリーマンJリーガー>として脚光を浴びた。横浜F(当時)とベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)でプレーして2001年から新潟、湘南、松本山雅で監督を歴任。08年北京五輪代表監督。3月29日にJFA技術委員長に就任した。

【連載】反町康治 日本サッカー改革論

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    森保監督の「1年続投案」は消去法か…日本サッカー協会31億円赤字でクビが回らぬ懐事情

  2. 2

    パリ五輪組ゼロの異常…若手の突き上げなき森保J、久保建英も認めた“進まぬ新陳代謝”

  3. 3

    本田圭佑「代表監督やりたい!」に辛辣な声…ライト層にウケても“現実的にあり得ない”

  4. 4

    「過去最強」「欧州組23人」のマヤカシ…欧州ビッグクラブ“主力ゼロ”で圧倒的に足りない個の実力

  5. 5

    「塩貝発言」は日本の顔に泥…ブラジル戦は残念だらけ、決勝Tで勝てない理由もうかがえた

  1. 6

    森保Jの悲劇的敗戦を分析…本気のブラジルに「コマ不足」「勝てるチャンスなし」「延長なら複数失点」

  2. 7

    森保監督は“海外流出”、佐野海舟・鈴木彩艶・上田綺世はビッグクラブ移籍か…W杯32強敗退でもバラ色の人生が

  3. 8

    サッカー日本代表「ポステコグルー招聘」失敗の痛手…サウジ金満クラブの年俸20億円提示にJFA惨敗

  4. 9

    森保監督がW杯惨敗責任ウヤムヤで「半年限定続投」のデタラメ人事…新監督は最大13試合がムダに

  5. 10

    「日本にカボベルデの監督を招聘できないか」 元ワールドサッカーグラフィック編集長が提言する根拠

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山田涼介が「令和最強アイドル」と評されるワケ…主演ドラマ「一次元の挿し木」は玉森裕太を三歩リード

  2. 2

    沈黙貫く橋本愛vs佐藤二朗「週刊新潮」で反論の泥沼化…SNS連投で"自滅"を心配する声も

  3. 3

    『ひよっこ』再放送記念、神回「ビートルズがやって来る」再録

  4. 4

    骨折で入院中ですが…ブラジルに惜敗した森保Jを巡る一部炎上報道で心が痛い

  5. 5

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  1. 6

    男子バスケ日本代表に激震、ホーバス監督“解任”の真相…過去には八村塁と確執も 

  2. 7

    孤立深まる高市首相…国会10日ぶり正常化でも続く“包囲網” 与党内からも反発の声噴出の自業自得

  3. 8

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  4. 9

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 10

    村上誠一郎前総務相が高市政権バッサリ!「これが本当に保守政治なのか」…突きつけた自民「立党宣言」との乖離