著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神能見が今季限りで退団…「高校三羽ガラス」の逆転現象

公開日: 更新日:

 当初、そんな2人に比べて少し地味だったのは能見だ。なにしろ川口と井川が高卒でプロ入りしたのに対し、能見は高校卒業後に社会人の大阪ガスに進み、プロ入りはすでに25歳になっていた04年のドラフト自由枠。井川と同じ阪神に入団するわけだが、当時の井川はすでに虎の大エースとなっており、2人の格差は歴然。高校時代は並び称されていた事実など、すっかり風化されている感があった。

 しかも、能見はプロ入り後も遅咲きだった。先発ローテに定着して初の2桁勝利(13勝)を挙げたのは、すでに30歳となっていた5年目の09年。このころ、川口は引退しており、井川もMLBのヤンキースに移籍していた。かつての高校生左腕三羽ガラスのうち2人が日本球界を実質的に去ってから、ようやく最後の1人である能見が日の目を浴びたのだ。

 だが、最後の能見が一番プロで長生きしたのだからおもしろい。30歳のブレーク以降、能見はメッセンジャーとともに虎の二枚エースとして長く活躍し、5度の2桁勝利を記録。通算104勝のほとんどを30代という決して若くない10年間で積み重ね、井川の通算勝利数をも抜いた。

 高校時代からプロ入り当初は「川口→井川→能見」だった三羽ガラスの序列。それがやがて「井川→能見→川口」となり、今や「能見→井川→川口」になったのだと思うと感慨深い。能見は今季限りで阪神を退団したが、彼の足跡を振り返ると、移籍先でまだまだ長生きしそうな気がするのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは