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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

開幕6連敗→今季初勝利 DeNA三浦監督に感じる敗者の色気

公開日: 更新日:

 阪神ファンの私にとっても、なぜか三浦という投手は応援したくなる存在だった。ハマのエースとしての三浦は阪神キラーだったから苦い思い出も多いのだが、それでも不思議と憎めなかった。

■悲劇的エースだった現役時代

 それはきっと、三浦が勝利よりも惜敗の姿が似合うエースだったからだろう。現役時代の三浦は圧倒的な剛速球で打者をねじ伏せるようなパワーピッチャーではなく、緩急と制球力で相手打線をのらりくらりと最少失点に抑え、粘り強く投げ続けるイニングイーターだった。加えてチームの低迷期が長かったことから打線の援護にもあまり恵まれず、だから相手チームのエースと投げ合っては惜敗することがよくあった。だから通算172勝を挙げながらも、シーズン最多は12勝で、2桁勝利も25年で7度しか記録していない。一方で負け数が多く、通算でも184敗と負け越している。三浦は確かにハマのエースだったが、強さの象徴ではなかった。

 こういう悲劇的なエースには華やかな栄光よりも敗れし者の悲しみのほうがよく似合う。現役時代は打線の援護に恵まれず、監督となってからは戦力に恵まれず、だからおのずと敗戦が増えていくのだが、現在の三浦監督はまるで達観したかのように一切の言い訳をすることなく、黙々と次の試合に挑んでいる。ここに色気を感じるのだ。

 こういう人って稀だと思う。少なくともラミレス前監督や中畑清前々監督は陽の人物だった。敗戦が似合うといえば、成績不振の全監督に当てはまるが、そこに悲哀の華を感じるのは三浦監督くらいかもしれない。

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