五輪中止も感染爆発も困る…30年札幌五輪招致派の複雑胸中

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「そのような声が出るのはわかりますが……」

 こういって複雑な表情を見せるのは、札幌市内の飲食店関係者だ。

■医療逼迫、自宅死亡者が相次ぐ札幌

 札幌は新型コロナウイルスの感染拡大により、病院に入れず自宅などで療養、待機している患者が2000人近くいるという。11日には過去最多の14人もの死者が出て、翌12日にも12人が亡くなった。感染者は減少傾向にあるものの、札幌はすでに医療崩壊の状態にあるといえる。

 その札幌市も、東京五輪のサッカー、陸上のマラソン、競歩の会場になっている。これ以上の感染拡大は市民、道民の生活を脅かす。労働組合や市民団体などが、東京五輪の中止を求める声を上げたのは当然だ。

 そもそも五輪のマラソン、競歩が「北の大地」で行われることになったのは、国際オリンピック委員会(IOC)の責任回避からだ。2019年世界陸上(ドーハ)のマラソンと競歩は、酷暑のため棄権者が多数出た。気温30度以上、湿度80%前後の過酷な環境下での競技を強いられた選手たちから批判の声が続出。それまで都内の暑さ対策を評価していたIOCは、東京五輪のロードレースでも惨状を繰り返せば責任を厳しく追及される。それを恐れて、マラソン、競歩の会場を、急きょ、札幌に移転させたのだ。その先頭に立っていたのが、15日に来日したIOCのジョン・コーツ調整委員長だった。

風向きが変わり

 冒頭の関係者がいう。

「札幌市がマラソン、競歩の会場移転を受け入れた背景には、2030年冬季五輪の招致が関係しているはずです。IOCと良好な関係を築くことで、招致に有利になるという計算もあったのでしょう。札幌市は昨年1月、正式に国内候補地に決まり、経済界や観光、飲食店関係者も大いに喜んだものです。しかし、その後IOCの傲慢さやコロナ禍による医療の逼迫、東京五輪を強行開催しようと突っ走る政府の姿勢などが重なり、風向きが変わった。多くの市民が五輪招致に疑問を持ち始めたのです。この上さらに、東京五輪のマラソン、競歩、サッカーなどの人流が原因でクラスターでも発生したら、それこそ札幌五輪招致のムードは一気にしぼむ。招致推進派にとって、東京五輪中止の声はいい迷惑ですが、このまま五輪を強行した揚げ句、感染爆発でイメージがこれ以上悪くなるのも困るのです」

 中止は困るが、かといって五輪をやって感染爆発も大きなマイナスだ。札幌五輪招致推進派はどっちに転んでもアタマが痛いというのだ。

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