それまでの練習は、ある程度は気楽にできた。それが、「練習の時から試合のつもりでやらんかい!」と言う星野監督政権下では雰囲気が一変。張り詰めた空気の中、一瞬たりとも気が抜けなくなった。試合中、私のベンチの定位置は星野監督の前。怒ると前のイスを蹴るものだから、背中をガンガンやられる私は、生きた心地がしなかった。
星野さんが中日の監督になった時、こう聞いたことがある。
「監督になったからって休みの日にゴルフに行っちゃいかんって言わないですよね? 行ってもいいですよね?」
「おう、もちろんや。どんどん行けや」
しかし、フタを開けてみれば、この約束が守られることはなかった。(つづく)