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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

マラソン絶対王者キプチョゲはボストンで「2時間切り」なるか? 山田敬蔵の優勝から70年

公開日: 更新日:

 秋田の大館に行ってきた。

 かつて黒鉱の鉱山で繁栄を極めた町もすっかりおとなしくなったが、白神山地や鳳凰山など四方を山に囲まれ、天の広いすがすがしい土地だ。明治期からの繁栄を背景に、この地は多くの陸上選手を輩出してきた。最近では女子マラソンの浅利純子や日本記録を作った松宮兄弟がいる。代表は山田敬蔵で、1953年のボストンマラソンで優勝、「心臓破りの丘」という映画まで作られた。今年が優勝から70年、地元は4月30日の山田敬蔵記念ロードレース大会の準備に大わらわだ。

 ボストンと聞いてマラソンを思い浮かべるのは日本人くらいだろう。「心臓破りの丘」を知る人は、アメリカにもそう多くない。山田の優勝はそれだけ大きな反響で、敗戦後の閉塞に風穴をあけた。ボストン=世界、復興への勇気、インパクトは今年のWBCどころではなかった。

 ボストンは87年まで、厳格なアマチュアリズムの下で招待枠はなく、旅費も宿泊費も自弁。3度走っている瀬古利彦でさえ2度まで自費参加だ。山田が勝った年は、大卒の初任給が8000円だった時代に自己負担金が80万円だから、会社の援助なしには行けなかった。会社を背負ったから必死だった。いまとは時代が違うが、マラソンで勝てなくなったのは時代のせいではない。

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