増位山の極意に見る技の奥深さ「内掛けは相手が警戒した方が決まりやすい」

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貴景勝は武器と弱点が隣り合わせの力士

 横綱・大関を目指して、まずは寄りの「型」を求められるような力士が、むやみと足技を使うのは考えものだが、増位山のような名人技を継ぐ力士が育たないと、せっかくの至言も忘れられてしまうだろう。

「押し相撲は押しに弱い」「突き押し相撲は突き押しに弱い」ともいわれてきた。稽古では攻めに徹し、引けば叱られるので、先手を取られた場合の守りや反撃の稽古をあまりしないからだとされる。世代交代を期待されながら新鋭が星をつぶし合う場所が続いたのも、あんこ形の突き押し力士が増え、「押しは押しに弱い」からだろうか。

 秋場所は貴景勝が11勝4敗で優勝した。九州場所後の横綱昇進があるとすれば、ハイレベルの優勝が条件になるが、突き押しの中でも特に武器と弱点が隣り合わせの力士。優勝ラインが下がるからこそ優勝できるという意地の悪い見方もできる。貴景勝が果たして15日間、武器だけを前面に出して取り続けられるか。そして秋場所は脇役に回った霧島と豊昇龍が、「型」の兆しを見せられるか。眼前の白星欲しさの「技」では、受け継がれていかない。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

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