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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

「記者の目はテレビカメラ9台分に匹敵」厳しかったある野球記者の思い出

公開日: 更新日:

「あれこれ考えることはない。見たことを書けばいい。現場での情報はテレビカメラ9台分にも匹敵するのだから」

 後にコミッショナー事務局に移り、本紙記者にも「もっと勉強してから来なさい」と叱られた思い出があるという。

 個人的には、週刊ベースボールで「記録の手帳」を2897回連載した千葉功さん、セ・リーグ事務局にいた読売新聞OBの大越英雄さんを交え、私が住んでいた谷中の階段下の居酒屋「蟻や」によく集まった。後にベースボール・マガジン社の池田哲雄社長も加わり、これだけの顔ぶれだから勝手に「谷中サミット」と名付けて野球談議に花を咲かせていた。コロナ前のことで、調子に乗っていると「キミ、へらへら笑ってるけどね」と注意された。

 人嫌いで頑固な先輩には優しいところもあり、コミッショナーに移ったのは母親の介護のためだったし、報知新聞を辞めて間もなく、たまたま文藝春秋社前の路上で、白取晋さん(激ペン)と一緒のところを会った時は「この前の面白かった、頑張れ」と励ましてくれた。


 長嶋茂雄さんが絶大な信頼を寄せ、独身の馬立さんに何とか嫁を取らせようとしてかたくなに断られた話は有名だ。松井秀喜がニューヨークに渡る際に相談に乗ったと聞いたが、それも長嶋さんの紹介だろう。今回の大谷翔平の問題を知ったら、何と言っただろう。記者の目はテレビカメラ9台分──。「蟻や」は店を畳み、パンチョ、激ペン、千葉さんに続き馬立さんも旅立った。時代の激変を前に、「もっと勉強してから来なさい」と言える先達が次々に消えていく。

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