著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

自己保身に一辺倒の日本体操協会の対応に、パワハラや体罰を生み出す日本スポーツ界の土壌を見た

公開日: 更新日:

 パリ五輪開幕がもうすぐそこだというのに「日本代表選手を辞退する」という事件が起きた。

 体操女子のエース宮田笙子選手(19)の五輪参加辞退である。喫煙と飲酒の発覚がその理由とあって、「厳しすぎる」「仕方がない」と巷の議論は宮田選手の行動規範抵触と五輪辞退の比重に終始している。しかし、この一報を聞いた時、私には今回の問題の本質は別のところにある気がした。代表選手団派遣業務に長く携わった肌感覚がそう思わせた。

 それは、去る7月19日に日本体操協会が開いた緊急記者会見の録画を見て確信となった。

 冒頭、協会幹部は揃って深々と頭を下げ世間に謝罪した。そして、同会長は話し合いの結果、宮田選手が辞退を申し出る結果になったとし、「この案件は本人だけの責任ではなく、協会全体の責任、宮田さんへ寄り添っていく」と語ったのである。選手を思う懐の深いリーダーの言葉に聞こえるが、体操協会としてどのように責任を取るのかについての言及は一切なかった。そもそも選手を思う協会ならば、モナコ合宿中の宮田選手を日本に呼び戻す前に自らが現地に飛ぶだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    全英V山下美夢有の「凱旋フィーバー」は望み薄…6年前の渋野日向子と決定的な違いとは?

  2. 2

    金足農・吉田大輝は「素質は兄・輝星以上」ともっぱらだが…スカウトが指摘する「気がかりな点」

  3. 3

    叡明(埼玉)中村監督「あくまで地元に特化したい。全国から選手を集めることは全く考えていません」

  4. 4

    中居正広氏に新事実報道!全否定した“性暴力”の中身…代理人弁護士は「出どころ不明」と一蹴

  5. 5

    東洋大姫路(兵庫)岡田監督「大学からは『3年で』と言われたけど、ナンボ何でも無理ですと」

  1. 6

    国民民主“激ヤバ”女性議員の選挙違反疑惑には党本部が関与か…ダンマリ玉木代表に真相究明はできるのか?

  2. 7

    清原和博さんの「思わぬ一言」で鼻の奥がジーン、泣きそうに。チーム内では“番長”とは別人だった

  3. 8

    嫌というほど味わった練習地獄と主力との待遇格差…俺の初キャンプは毎日がサバイバルだった

  4. 9

    例年の放送目前に「今年は27時間テレビないのか」の声が続々 2011年には中居正広氏に「女性に溺れる」との予言の因果

  5. 10

    巨人の正捕手争い完全決着へ…「岸田>甲斐」はデータでもハッキリ、阿部監督の起用法に変化も