著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

言葉を失ったオールドメディアへの“しんみり感”…「すごい」を言うために記録を引っ張り出す逆転現象にもシラける

公開日: 更新日:

 ニューヨーク・タイムズが運動部を廃して1年、日本の全国紙の運動部も大幅に縮小する中、オールドメディアの“盛る”根拠が記録だ。

 スポーツの記録は時代を背負い、絶対値のようでいて活躍を盛り上げる形容詞にもなる。記録の神様といわれた宇佐美徹也はこの乱用傾向を「語呂合わせ」と喝破したが、二刀流の大谷なら「50-50」を筆頭にいくらでも記録を探し出せる。「すごい」を言うために記録を引っ張り出す逆転現象にも、しんみりしてしまう。

 先週、オールドメディア・スポーツの象徴と言っていい福岡国際マラソンがあった。1947年に始まった福岡国際は、3年前に一度幕を下ろす勇み足で別大会扱いとなり、もはや大会数はうたっていない。コース記録は残るが大会記録は消えた。

 アフリカ勢の台頭と厚底シューズの開発でマラソンは変わり、記録の単純比較のむなしさは選手が一番知っている。優勝した吉田祐也(GMOインターネットグループ)のきれいなフォームも技術革新を巧みに取り入れたもの。記録2時間5分16秒は日本歴代3位になるが、「記録は意識していませんでした」と繰り返す選手、記録の快挙を繰り返すテレビーー言葉が通じないメディアの姿にもしんみりした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」