著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

箱根駅伝を無理に「世界」や「マラソン」と結びつけて感動を煽るヤボはいらない。駅伝は駅伝なのだ

公開日: 更新日:

 マラソンの“お家芸”の第一歩は、田中茂樹の51年のボストン優勝だった。参加者はいまの200分の1の191人で、世界的に知られた大会でもなかったが、この快挙でオリンピック=世界=ボストン=マラソンの図式ができ、戦後日本は沸き立った。そこに駅伝をフラフラッと重ねただけの話である。

 この暮れ、何人かの長距離レジェンドに会った。厚底シューズや過剰なテレビのあおりは低年齢層に及び、一様に「マラソンは変わった」と口をそろえた。宗茂さんの話が印象的で、3年前のびわ湖毎日で鈴木健吾が2時間4分56秒の日本記録で優勝した。それだけでなく、最後の伝統大会で40人の日本選手が2時間10分を切った。

「そんな大会は日本以外、世界中のどこにもありません」

 世界ランキングにサブテン数などない、メダルもない。しかし、この記録こそ駅伝効果だと宗さんは話した。箱根を無理に世界と結び付けて感動をあおるやぼはいらない。駅伝は駅伝なのだ。青山学院の連覇! などと喧々囂々、ワクワク楽しみ、その先は選手それぞれ。加えて、駅伝で育ったレジェンドたちは元気で長生きだ。適度なランニングが健康にいいと、日本人は知っているのかも知れない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する