落合博満さんがマスコミに隠した“裏の顔”…現役時代は三冠王3度の実績とオーラが審判をも惑わした
「中日を改革したい。強くしたい。だから、中日色を一掃したいんだ。来年の人事は外様コーチが多いと思うから、気にしなくていい。よろしく頼みます」
現役時代の思い出がある。私がヤクルトの正捕手に定着した1988年ごろ、ちょうどロッテから中日に移籍した落合さんと何度も対戦した。他の打者より突出していたのは、バットコントロールより、ボール球を振らないこと。選球眼がいいということだった。
投手からすればベストと言える、外角低めの際どいボールには、ほぼ手を出してこない。驚くことに、追い込まれていても、である。もし「ストライク」と言われれば、表情ひとつ変えず、そのまま打席を後にするから不気味だった。
当時は「絶対に見逃し三振はするな」と言われた時代。特にヤクルトは私が入団した際の土橋正幸監督、次の関根潤三監督に「ストライクゾーンを広げて、食らいついていけ」と口酸っぱく言われた。それなのに、落合さんは振ってこない。完全に割り切っているのだと気が付いた。実はアウトローは落合さんの弱点だった。確率が低いから振らないというシンプルな理屈である。