「甲子園に行く方法、教えます」…東京を代表する中学・学童指導者2人が徹底指南
高校で甲子園に行く──。プロ野球選手は現実的でなくても、小学生と中学生の野球少年にとって、最も多い夢、目標がこれではないか。それなら、小、中時代に何をやればいいのか。高校を選ぶ際の注意点は? 東京を代表する小、中の野球チームの指導者に聞いた。
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中学時代の秋広優人(現ソフトバンク)を指導した江戸川ボーイズ(東京)の北口智広監督がこう言う。
「高校で甲子園を目指してもらうために、江戸川ボーイズで一番重視しているのは、ケガをしない体づくりです。体幹、柔軟性、可動域を広げるといった器具を使わないトレーニングを重点的にやっています。秋広は筋力がなかったので、入念にやってもらいました。あとは正しい投げ方をすること。うちにはドリルがあって、徹底的に反復します。高校で野球を続けるには、基本が大事になりますから」
甲子園を狙うような強豪校はどういう中学生を求めているのか。北口監督が続ける。
「運動能力が高くフィジカルが強い選手。江戸川ボーイズOBで夏の神奈川大会で2年生ながら4番を打った横浜隼人(神奈川)の大塚壱芯は、フィジカルが強くて柔軟性を兼ね備えている。中2の11月には進学が内定していました。こちらが中学生を送り出す際は、野球の実力はもちろん、メンタルも見ます。強豪校に誘われるくらいの子は中学では飛び抜けています。でも高校に進学したら、自分よりうまい選手ばかり。そこで心が折れてしまっては勝負ができません。怒られ慣れていないと、厳しい強豪校では戸惑うでしょう。だから、私はそういう子にはあえて厳しく接するようにしています」
二松学舎大付に進学した秋広のことも、あまり褒めた記憶がないという。
「特別扱いは一切しませんでした。秋広のお兄さんも江戸川ボーイズ出身で二松学舎で甲子園に出たんですが、甲子園に出るような選手は、高校側から誘われるケースがほとんど。秋広は甲子園には出ていませんが、高校側から声がかかりました。こちらからお願いしてスポーツ推薦で入れてもらうケースもありますが、高校から誘われた方が入学後に多くチャンスがもらえます」(北口監督)
最近は強豪校でも勉強の成績が重視されるという。
「昔は野球さえうまければ野球学校には入れましたが、今では平均くらいは求められることが多い。東京の大学付属校も中3の1学期の成績がオール3以上といった基準があります。野球だけうまければという考えでは、今の時代、どの高校にも入れません」(北口監督)
小学生は何をすればいいのか。「小学生の甲子園」と称され、8月に行われる全国大会「第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に、約1200チームの中から9年ぶりに東京(第2)代表として出場する江東区「越中島ブレーブス」の権丈義宣代表が言う。