セDH導入でドラフト戦線はどう変わる?甲子園ネット裏のスカウトから「意外な回答」が続々
俊足タイプにもスポットライト
「今はほとんどのことがデータで分かる時代。守備や走塁はからっきしでも、体が大きくてスイングスピードだけは速いとか、当たればどこまでも飛んでいくような選手を、巨人やソフトバンクといった資金力のある球団が、育成契約でかき集めることが考えられます。西武に197センチ、112キロの巨漢で大卒2年目の村田怜音(皇学館大)という打撃のいい内野手がいて、まさにこのタイプ。打球は飛ぶけど、守備力がないから、セは軒並み指名を回避した。DHでの起用をにらんだ西武が、23年のドラフト6位で指名しました。セもこれができるようになります」
打撃だけではなく、「一芸主義」に拍車がかかるという。
「DHは打撃優先というイメージがあるが、足だけは速いという選手にもスポットライトが当たるのではないか。例えばソフトバンクのスピードスター周東は最初は育成で入団した。50メートル5秒6という日本ハムの五十幡とか、俊足に特化した選手の需要が増す可能性があります」(前出のスカウト)
外国人補強も変わる。セ球団のさる編成担当者がこう言う。
「ドラフトより助っ人の打撃力という側面が色濃くなるでしょうね。これまでセの球団は、守れないと試合に出られないこともあって、打撃力を優先しながらも、ある程度の守備力がないと獲得しにくかった。そうなるとドラフト同様に、打っても守ってもそこそこというバランス型になりがちだった。これからは、DH専任を含め、日本で打てるか打てないかという打撃力だけを見て補強ができる。その分、スカウトの眼力が問われることになりますが……」
阿部監督は「選手の寿命が延びるんじゃないか。DHがあったら、まだやりたかったなと思う」と言った。
「レギュラーが10人になるわけで、支配下70人の中の野手の割合が増えることが考えられます。メジャーのように疲れの見える選手を交代でDHで使う球団も出てくるでしょう。阿部監督が言うように、巨人の坂本、DeNAの筒香、広島の松山といった出場機会が少なくなったベテランの新たな仕事場として、DHは延命のポジションとして使えるメリットもあります」(前出の編成担当)
セの6球団はこの甲子園大会から、27年シーズンのDH要員をにらんだドラフトの人選を進めるという。
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現在開催中の夏の甲子園では、ネット裏からスカウト陣が目を光らせているが、彼らは選手のどこを見ているのか。かつて大谷やダルビッシュの獲得に関わった元日本ハムGMで、現スカウト顧問の山田正雄氏が、「スカウトの目の付け所」を徹底解説、おまけに当時の“裏話”なども明かしてくれた。
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