地獄の浜松キャンプでは自分の脇腹負傷にガッツポーズ、束の間の休息が本当に嬉しかった
休日はひたすらベッドで寝た。1週間に1回くらいは休日があったが、寝て起きたらもう夕方。時計を見て、「また明日練習か……」という絶望的な気分になった。あんな生活、ようやっとったなとしか思えない。浜松キャンプは地獄のような日々だった。
それもあって、ケガをした選手がうらやましいという錯覚に陥った。ある日、キャッチャーフライの捕球練習をしていたとき、ボールを追いすぎてバッティングケージのパイプに激突し、脇腹を痛めてしまった。すると、星野監督はひと言「帰れ」。心の中で思わず「ラッキー!」とガッツポーズをした。
プロ野球選手がケガをして喜ぶのもどうかと思うが、このときは練習がキツすぎたせいで、本当にうれしかった。
ところが1週間後、ケガが治ってきた頃に「良くなったなら、また戻ってこい」とまさかの呼び戻し。再び、地獄の日々を過ごすことになった……。