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小林至桜美林大学教授

1968年、神奈川県出身。91年ドラフト8位で東大からロッテに入団。93年に引退し、94年から7年間米国在住。コロンビア大でMBAを取得し、江戸川大教授を務めながら、2005~14年にソフトバンクホークスの取締役を兼任。現在は、一般社団法人大学スポーツ協会理事、一般社団法人スポーツマネジメント通訳協会会長。YouTubeチャンネル「小林至のマネーボール」も好評配信中。

日本のスポーツ放送はいったいどうなる?“黒船”NetflixのWBC独占配信がもたらす大きな波

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 次に「影響」。

 過去を振り返れば、WBCは日本球界に強い追い風をもたらしてきました。日本はこれまで3度優勝し、前回2023年大会では日本戦7試合のうち6試合が3000万人以上に視聴され、決勝は早朝にもかかわらず5000万人が優勝の瞬間を見届けました。

 その熱気は地上波中継や特番を通じて全国に拡散し、侍ジャパンの常設化やスポンサー獲得につながりました。さらに、13年大会後にはNPBの観客動員が前年から増加に転じるなど、明らかに「WBC効果」がありました。

 すなわち、地上波を通じて大会が「国民的イベント」として認知され、そこからプロ野球全体の人気を底上げする因果の構図が存在したのです。

 しかし今回、試合が「サブスクの壁」の内側に入れば、従来の地上波視聴者、とりわけ高齢層やライト層の一部はアクセスできなくなります。視聴人口が縮小するだけでなく、地上波局も「自分たちが中継できない大会を特番で宣伝する理由がない」となり、報道露出も減少するでしょう。

 その結果、これまで享受してきた外部効果--代表ブランドの価値上昇、スポンサー拡大、観客動員の押し上げ--は目減りする可能性が高い。つまり今回の「配信独占」は、日本球界にとって重要だった「宣伝媒体としての地上波」という土台を失うことを意味するのです。

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