大の里の横綱初V? 若隆景の大関昇進? 専門家が語る大相撲9月場所の展望
長山氏は「とはいえ……」と、こう続ける。
「大の里については、もう少し長い目で見るべきです。先場所の11勝も、新横綱としては十分。そもそも、まだ入門3年目。横綱としてはもちろん、力士としても発展途上ですからね」
5日の稽古総見では大の里が精彩を欠き、豊昇龍は好調だったが……。
「本場所10日前の稽古なので、参考にはなりません。豊昇龍は場所前の稽古はいつも強いが、それが本場所の結果に結びつかない。八角理事長は稽古総見後に『稽古だと余裕があるから技が何でも決まるけど、本場所はその余裕がない』と話し、大の里については『一つのことをやるだけだから、迷いなく相撲が取れる』と話していた。私も9月の本命は大の里と見ています」
■若隆景は「10勝でも大関に昇進させていい」
大関取りのかかる若隆景はどうか。直前2場所で22勝し、大関昇進の目安となる「三役で3場所33勝」まで残り11勝に迫っている。
「低い姿勢から左右のおっつけを利かせて前に出る、実に理にかなった相撲です。若隆景の実力を考えれば、11勝は十分可能な数字です。もっとも、私は10勝でも大関に昇進させていいと思う。番付編成上、大関は2人いなければいけませんが、現在は琴桜のみ。西横綱の豊昇龍が大関を兼ねる『横綱大関』となりますが、本来はいびつな番付なのです。そもそも、大関昇進の目安と呼ばれているものに明確な基準はなく、相撲協会の規則ですらありません。1場所15日制になった以降は直前3場所が計20勝台の大関が5人いましたが、初代若乃花や北の富士ら4人は横綱に昇進。近年は世間の目もあってか、審判部も『3場所33勝』の目安をやたらと気にしがちですが、内容が良ければ星数にあまりこだわる必要もないでしょう。2横綱の金星配給が多いのも、役力士との対戦が少ないことが影響している面もある」