大の里の横綱初V? 若隆景の大関昇進? 専門家が語る大相撲9月場所の展望
近年、目覚ましいのが若手の躍進だ。前相撲から始めた安青錦(21)は、入門3年目で早くも三役に番付を上げた。
「安青錦はアゴを上げず、低い姿勢で相手に頭をつけて相撲を取る技巧派。かつての欧州勢に比べればスケール感に乏しい面があり、すぐにも横綱・大関という感じではないが、実にしぶとい相撲を取るので上位陣にとっては嫌な存在になりそうです。安青錦に限らず最近の若手は上位力士にも臆することなく向かっていく傾向があり、誰が賜杯を掴んでもおかしくない。大相撲は横綱が勝つのが常道ですが、現在は誰が勝つかわからない、スポーツ的な面白さがある」
そんな長山氏が注目するのがモンゴル出身の新弟子2人、伊勢ケ浜部屋のオチルサイハン(23)と、玉ノ井部屋のオトゴンバト(21)だ。
「玉ノ井部屋には東白龍と羽出山という2人の十両がいますが、オトゴンバトと稽古をする時は、10番やって1番勝てるか勝てないか。オチルサイハンは4年半も伊勢ケ浜部屋で稽古を積んでおり、豊昇龍を圧倒。兄弟子の熱海富士ですら歯が立たなくなっていると聞いています。いずれも前相撲からになりますが、すぐに幕内に上がってくるはず。昨年新入幕で優勝した尊富士など、最近は幕内に上がったばかりで活躍する力士が実に多い。裏を返せば、残念ながら幕内力士のレベルが若干下がっているのも事実。今後はこの2人がどこまで活躍できるかも、注目していきたいですね」
すでに横綱が絶対の存在ではなくなった現在の土俵。大の里と豊昇龍が再び横綱の権威を取り戻すか、あるいは新鋭の台頭を許すのか。