“松井秀喜キラー”だった元阪神ドラ1投手 遠山奨志さんは京都の高校で球児を熱血指導中

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高卒ルーキーでいきなり8勝も、故障に泣き、山あり谷ありの40年

 高校野球といえば、熊本・八代第一高校のエースだった遠山さんは、1985年のドラフト会議前には11球団から指名あいさつを受けていた。だが、返事はすべてお断り。

「社会人の本田技研熊本に行くつもりだったんだ。会社を挙げて盛り上がる都市対抗野球にあこがれてね。でも、あまりにしつこいから『じゃあ1位なら』と伝えたら、本当に阪神が指名したんだ」

 清原和博の外れ1位で入団し、1年目にいきなり8勝をマーク。将来の大エースと期待された。しかし、翌年から左肩、左ひじなどを痛めて成績は低迷し、90年オフに高橋慶彦との交換トレードでロッテへ。4年後に野手に転向して再出発を図るが、97年オフに戦力外通告を受ける。

 しかし、拾う神あり。古巣へ戻った。

「阪神時代の先輩コーチから入団テストを打診されてね。当時の吉田義男監督が、ボクのことを打者ではなくロッテ時代にオリックスイチロー対策でサイドスローに変えていた投手として興味をもって採用してくれた」。それでも結果を残せず、1年で再び戦力外通告。今度こそ引退を覚悟した時、就任したばかりの野村克也監督が「左投手は必要や」と急転、残留が決まった。

■「顔も見たくない」と言わしめた巨人・松井キラー

 九死に一生を得た遠山さんは野村監督の指示でシュートを覚え、ここから巨人の左の主砲・松井キラーとして大ブレークする。

 中でも右腕の葛西稔と組み、相手打者の左、右に合わせて遠山-葛西-遠山-葛西……という必殺のワンポイント継投は球界を席巻。2人が投手と一塁手を何度も行き来する奇策は「野村スペシャル」と呼ばれ、全盛時の松井が「遠山さんの顔も見たくない」と白旗を揚げたほどだった。

「野村監督の掲げる弱者が強者を倒す継投だった。おかげで5年間も一軍のマウンドに上がれた。いま教えている廣学館野球部は弱いチーム。強い相手を倒すにはどうしたらいいか、チラッとあの時代が頭をよぎることもあるんですよ」

 はたして高校球界に「遠山スペシャル」が炸裂するか。“金四郎”はちゃめっ気たっぷりに笑った。

 兵庫県川西市で夫人と2人暮らしだ。

(取材・文=長浜喜一)

▽遠山奨志(とおやま・しょうじ)1967年、熊本県生まれ。八代第一高のエースとして活躍も甲子園経験はない。プロ実働14年(野手3年)で通算16勝22敗5セーブ。左投げ左打ち。兵庫県川西市で夫人と2人暮らし。愛称は「金四郎」。

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