【野村克也監督】阪神に根付く「ノムラID野球」…私の野球観も大きく変わりました
──それはいくらなんでも……という感じですね。
「ただ、野村監督の場合は、僕らに聞いているのは正解か不正解かじゃないんです。『根拠は何だ?』と。つまり、『おまえの考えはどうなんだ?』と、意見を聞いているわけです。もちろん、実際に投げた投手や受けた捕手に聞かない限り、本当のところはわからないわけですが、それに対して『わかりません』とは答えられません。野村監督の質問にきちんと答えられる準備をしないといけない。僕のスコアラー人生でかなり勉強になった監督だと思います」
──今はどの球団もやっていますが、阪神では野村監督時代にスコアラーがベンチ入りするようになった。
「ヤクルトでやっていたことを、ウチでもやるようにしたんです。野村監督は試合前のミーティングでも自分の考えを15分間ほど話していました。試合中も、例えばある打者がストレートを本塁打したら、『次の打席は変化球待ってるやろ』と。僕は野村監督が退任してからも、学んだことを選手に伝えてきました。時代は変化しても、普遍的なものはある。それが長年、スコアラーをやってきた人間に求められていることだろうな、という思いもありましたから」


















