レベルの低い“寄せ集め集団”を見渡し、失った自信を取り戻した感覚があった
そう意気込んだのとは裏腹に、田尾監督は俺にこう言った。
「武司、代打の切り札として期待しているぞ。頑張ってくれよ」
え~、俺はスタメンを目指しているのに。出はなをくじかれてしまったけど、これまでのように怒りを覚えることはなかった。
「期待されていないのは分かっている。代打で結果を出してスタメンを勝ち取ろう」
素直にそう思えた。
ヘタに実力があったら、ああでもない、こうでもないとまた文句を言っていたかもしれない。でも、この時は一度は引退を決意した身。「どうせ打てないんだから……」と開き直っていたせいか、不思議と腹が立たなかった。
田尾監督から打撃フォームについて“ダメ出し”されたときもそう。田尾さんは爽やかにキツイことを言う。打撃練習中、ニコニコしながら近づいてきて「武司~、そんなんじゃ絶対に打てないぞ~」と言ってくるのだ。
04年、日本シリーズのラジオ解説でナゴヤドームに行き、田尾監督と遭遇したときも「今のままじゃ打てないよ」とさらっと言われた。少し前の自分だったら、「何!?」とブチギレていただろう。でも、そうはならなかった。妙にすんなりと田尾監督の助言を受け入れることができた。


















