最後の無頼派・森本潔が大谷翔平に捧げる祈り「この日記を生きている限り、書き続けていければ…」
森本の書斎にある大きな机。透明のデスクマットの下には家族の写真、生涯の親友・松浦毅と写った西条高の同窓会の写真、そして阪急・オリックス85周年記念の野球カードが飾られていた。西宮球場のスタンドをバックに、森本がバットを構えた場面。裏面の文章は筆者が書いている。「オリックスの始球式に呼ばれたりしたら、行きますか?」と尋ねたら、「そういうのは嫌だな。阪急には愛着があるけど、オリックスは近鉄と合併したでしょ。俺、近鉄ファンにヤジられていたから(笑)」と返ってきた。球界への未練も微塵もないようだ。
だが、ただ一人、森本が注視している現役のプロ野球選手がいる。メジャーリーガーの大谷翔平だ。森本は、デスクの一番上の引き出しから日記帳を取り出した。
「大谷がメジャーに移籍してから、ずっと出場する試合を見て、日記をつけているんだよ」
息を呑んだ。それは、大谷専用のスコアブックだった。記録だけではなく、毎試合の感想、大谷の調子、気づいたことなどの寸評がびっしりと細かく綺麗な字で書き込まれている。エンゼルス入団当初から書き始めた「大谷翔平日記」はすでに数十冊に及ぶが、古いものから順に処分しているという。森本は野球評論の仕事を離れて久しい。かつてスポーツ紙で書いていたコラムを「ギャラの割には面倒」と感じて降りた男が、80歳を過ぎた今、大谷の出場試合を見て、誰に頼まれたわけでなく、無償の行為として楽しみながら、毎試合克明に書き記している。それだけ大谷の存在に魅力を感じているのだ。


















