「狂信者」江上剛氏

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 厚生年金基金とは国民年金・厚生年金に上乗せされる、企業が従業員のために積み立てる年金である。厚労省からその資金の運用を託されているのがユアサのような投資顧問業者だ。だが、右肩上がりの時代が終わり、株価が下がると損失がふくらみ、倒産する代行業者や破綻する年金組合も出てきた。そんななかで利益を上げている湯浅の周りには、彼を厚生年金基金の救世主のようにあがめる元役人らが群がっている――と。

「『狂信者』とは、そういうカネに取りつかれてしまった人を指しています。日本のGDPが上がっても、それで一人一人は幸せなのか。じゃあ、ほかにどういう生き方があるだろうと考えて、湯浅が自分探しをしているという設定にし、最後にどんでん返しを仕掛けました。幸せとは一人一人違うということを伝えられたらと思っています」

(幻冬舎 1700円+税)

▽えがみ・ごう 1954年、兵庫県生まれ。元銀行マン。2002年、「非情銀行」で作家デビュー。主著に「合併人事」「渇水都市」など。

【連載】著者インタビュー

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