「境界の民」安田峰俊氏

公開日: 更新日:

「少数者である『異境の民』に対する日本人の視線って、すごく単純です。『かわいそうな人たち』と同情するか、『親日な人たち』として持ち上げるか。しかも、ぼくたちより貧しく遅れていて劣っているという潜在意識があって、相手を見下している。哀れみは上から目線ですし、ウイグルや台湾を親日派として支援するのは、日本の植民地時代や靖国問題を肯定してくれるから。要するに、自分の都合のいいように彼らを解釈して、利用してるんですね」

 では、身近に存在する異境の民とどう付き合えばいいのか。意識し過ぎてもダメだし、日本語が流暢だからと相手のルーツを忘れてしまってもいけない。距離感が難しい。さらに、ISILもクリミアもスコットランドも、世界の重大ニュースは、境界の民が鍵になっている。

「少数者や境界の視点を知ることで、判断の幅が広がります。疑似体験、ケーススタディーとして、ぜひ読んでください」

(KADOKAWA 1700円+税)

▽やすだ みねとし 1982年滋賀県生まれ。立命館大学卒。広島大学大学院修士課程修了。広東省深圳大学に交換留学。ノンフィクション作家。著書「和僑-農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人」「中国人のリアル」「知中論」ほか。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず