「神学の思考」佐藤優氏

公開日: 更新日:

 日本では、キリスト教は禁欲で平和主義のように思われているが、「絶対平和主義の宗教と考えると間違いを起こす」と強調する。

「キリスト教は人間性悪説に立っており、性悪だから戦争も起きると考えます。しかし一方で、自分も性悪であるから、本当に悪いのは誰かの答えは“神のみぞ知る”であり、自分が正しいと思う道を行くしかない、と。戦争の応戦もその考えに起因しますし、聖書でも、キリストを捕まえようとした人に対して、弟子が武器を先制行使しています。欧米諸国は正当防衛と信じれば、武力行使に躊躇しないのは当然なんです」

 性悪の発想は、物語の世界でも見られる。

「取りつかれた妖怪によって運不運が決まる『妖怪ウォッチ』の物語は、絶対にキリスト教圏からは出てこない(笑い)。だって自分が悪いかもという発想がないでしょ? ともあれ、世界の勝ち組クラブであるキリスト教の発想を知っておいて損はありません。自分の人生に複線として応用すれば、助けになりますよ」

 対ロシア外交の最前線で「神学の思考」を武器にして活躍した著者が、キリスト教の内在論を徹底解説。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?