「『衝動』に支配される世界」ポール・ロバーツ著 東方雅美訳

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「石油の終焉」と「食の終焉」の著書で現代社会の病理をあぶり出した著者による終焉シリーズ第3弾。「欲しい」という消費者の衝動に動かされて破滅へと向かう米国の経済システムの崩壊を描く。

 崩壊の萌芽は、ヘンリー・フォードが生産の効率を追求してT型フォードを大量生産した結果、低価格で車を提供できるようになった時代にさかのぼる。市場が飽和状態になった後、モデルチェンジによって消費者の消費欲を刺激し続けた結果、消費者が自分の欲求を満たすことを最優先する社会へと変貌していった。政治も企業活動と同様の損得勘定のみが幅を利かせ、経済は回っても社会が回らない状況が生まれていく。市場の論理のもと、貧富の差が開き、雇用環境は悪化し、地球環境もコミュニティーも崩壊という恐るべき社会が出現。そこから脱するためには何をすべきなのか……。

 経済の奴隷と化した社会の描写を読み進めると、日本も他人事ではないことがわかってくる。(ダイヤモンド社 2400円+税)

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