「『衝動』に支配される世界」ポール・ロバーツ著 東方雅美訳

公開日: 更新日:

「石油の終焉」と「食の終焉」の著書で現代社会の病理をあぶり出した著者による終焉シリーズ第3弾。「欲しい」という消費者の衝動に動かされて破滅へと向かう米国の経済システムの崩壊を描く。

 崩壊の萌芽は、ヘンリー・フォードが生産の効率を追求してT型フォードを大量生産した結果、低価格で車を提供できるようになった時代にさかのぼる。市場が飽和状態になった後、モデルチェンジによって消費者の消費欲を刺激し続けた結果、消費者が自分の欲求を満たすことを最優先する社会へと変貌していった。政治も企業活動と同様の損得勘定のみが幅を利かせ、経済は回っても社会が回らない状況が生まれていく。市場の論理のもと、貧富の差が開き、雇用環境は悪化し、地球環境もコミュニティーも崩壊という恐るべき社会が出現。そこから脱するためには何をすべきなのか……。

 経済の奴隷と化した社会の描写を読み進めると、日本も他人事ではないことがわかってくる。(ダイヤモンド社 2400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  2. 2

    石田ゆり子ブームは終わらない? ベリーショートに賛否、脱「奇跡の50代」でも人気加速

  3. 3

    TOKIO国分太一「コンプラ違反」秘匿も次々に“セパ報道”で窮地に…復帰は極めて困難な道のりに

  4. 4

    作新学院・小針監督の「不適切指導」に私が思うこと 批判するのが“無難”かもしれないけれど…

  5. 5

    国分太一「すぽると!」降板は当然…“最悪だった”現場の評判

  1. 6

    巨人阿部監督 グチるくらいならいっそ「4番・坂本勇人」はどうだろう…“進退の決断”含めた4つの理由

  2. 7

    国分太一コンプラ違反で「周囲が感じていた異変」…過去にはガングロに"変身”して問題起こした有名人も

  3. 8

    田原俊彦「真ん中の足」「カッチカチ」下ネタ連発で退場危機…フジ問題でも“おまいう発言”で大ヒンシュク

  4. 9

    フジ再激震! オンカジ逮捕「ぽかぽか」演出担当社員が豪語していた夢との落差にア然

  5. 10

    長嶋茂雄さんは松井秀喜の背もたれをガーンと蹴っ飛ばし、「巨人の4番道」を説いていた