「監察医の涙」上野正彦著

公開日: 更新日:

 これまで2万体を検視した法医学の権威がつづったドキュメント。

 脳梗塞で半身不随になった老妻が浴槽で溺死体で見つかり、献身的に介護してきた夫は睡眠薬自殺を図るが一命を取り留める。介護疲れによる殺人かと思われたが、その妻の手首に残った夫の痕から、溺れさせるために押さえつけたのではなく、引っ張り上げるときにできる手の痕だと分かったという。

 その他、重度の障害を持つ我が子と無理心中を図った父親の妻への思い、継父の虐待で亡くなった6歳の男の子の体に残っていた無数の傷痕、そして下宿人の大学生との情事中にくも膜下出血で亡くなった60代の女性など。死の現場から浮かび上がる忘れがたき人間ドラマを紹介する。(ポプラ社 580円+税)

【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも