「吉原という異界」塩見鮮一郎著

公開日: 更新日:

 資料を読み解きながら江戸の遊郭・吉原の変遷をたどる歴史エッセー。

 家康によって江戸城の普請が始まると、遊女を置く「傾城屋」が麹町8丁目や鎌倉河岸、京橋角町などの繁華な町に出現。やがて京橋の傾城町が現在の人形町にあたる「よし原町」と呼ばれる場所に移転した(元吉原)。やがて江戸が活気づいてくると、各町の楼主たちは、大坂の新町や京都六条の三筋町のような公認の遊女町をつくることを要望するが、家康は認めない。家康が死んだ翌年の元和3(1617)年、吉原は公認され、ここ以外での売春は禁止される。吉原開基の通説の元になっている享保時代の「洞房語園」などの誤りを正しながら、その歴史の裏側を克明に描き出す。

(河出書房新社 840円+税)

【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    突然告げられた強制米留学、現地では毎日ドミニカ人全員に飯を奢り続け、球団の領収書を切った

  2. 2

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  3. 3

    全英V山下美夢有の「凱旋フィーバー」は望み薄…6年前の渋野日向子と決定的な違いとは?

  4. 4

    酷暑の大阪万博会場を歩いたら“地獄”だった! 午後の気温は40度近く、大屋根リングはガラガラ

  5. 5

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  1. 6

    長渕剛がイベント会社に破産申し立て…相次ぐ不運とトラブル相手の元女優アカウント削除で心配な近況

  2. 7

    東洋大姫路(兵庫)岡田監督「大学からは『3年で』と言われたけど、ナンボ何でも無理ですと」

  3. 8

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ

  4. 9

    中村芝翫に別れたはずの愛人と元サヤ報道…夫が不倫真っ只中でも妻・三田寛子は家族写真投稿の複雑胸中

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希“ゴリ押し”ローテ復帰が生む火種…弾き出される投手は堪ったもんじゃない