「被差別のグルメ」上原善広著

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 差別されてきた人々の「ソウルフード」を食べ歩き、その独自の食文化に迫るノンフィクション。

 路地(同和地区)のソウルフードとして知られる「アブラカス」は、牛の腸をカリカリになるまで炒り揚げたもの。現在は、ヘット(牛脂)で炒り揚げて作るが、本来は貴重だった脂を取るために腸を煮て、その副産物として誕生したのがアブラカスだと思われる。よそ者を寄せ付けない独特の風味と味で、一般に広まることがないと思われたこのアブラカスをうどんに入れた「かすうどん」が今、大阪南部で流行しているという。

 そうした路地の食文化から、アイヌやサハリン、沖縄の離島まで、そこに行かなければ味わえない料理を求めて各地を旅する。(新潮社 740円+税)


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