今後、人口減少による経済力の低下が避けられぬ日本が、生活の質を維持・向上させていくには「文化立国」しか選択肢はないと説く提言書。
ユネスコによる、世界遺産への取り組みなどで分かるように、近年のグローバル化の広がりは、その反作用として世界各地の多様な文化の存在を改めて浮かび上がらせた。しかし、自国文化の海外発信において、日本は中国や韓国に後れを取っていると指摘。他国や日本の文化政策を検証するとともに、伝統文化とアニメなどの現代文化が融合して新たな活力を生み出す可能性に言及。地域格差など、経済重視で突き進んできた日本の歪みを是正するため文化の秘めた力に注目する。(筑摩書房 760円+税)