「江戸の経済事件簿地獄の沙汰も金次第」赤坂治績著

公開日: 更新日:

 歌舞伎や文楽、落語などに描かれた江戸っ子たちの暮らしぶりを紹介しながら、当時の経済事情を解説した江戸本。

 当時の基本は、米本位制だが、次第に貨幣経済の色合いが増す。4代家綱以降、年貢率が下がる一方で生産性が向上し、百姓の経済力が急速に高まり消費が増加。商人・職人も潤い、歌舞伎などの庶民文化が花開く。年貢の他に、町人や商人に課せられた税金や、職人の中でも一番恵まれていたという建築職人たちの実際の収入、本当にいた千両役者、そして落語の「芝浜」などに見る庶民の金銭観や、「手形」や「為替金」が大切なキーワードになっている近松門左衛門の作品など。近代資本主義以前の江戸の経済をリアルに描き出す。(集英社 740円+税)


【連載】新書あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する