「名著の読書術」樋口裕一氏

公開日: 更新日:

 予習でストーリーがわかってから読んでも、名著の醍醐味はいっぱいあるのだ。

 たとえば伏線をさがす、脇役や敵役に注目する、自分と比較して読む。従来のジャンル分けと違う視点で読む方法だ。

「飛ばし読みだっていいじゃないですか。さらにもう一度読むと、いろんなことに気づきます。名著は2度目からが面白いんです。10回繰り返して読んだら、評論家も気づいてないことが発見できるかもしれません。それを人に話したり、ブログで発信したりする。これが復習になります。予習・復習というと学校みたいですが、文学に正しい読み方なんてありません。自由に読めばいいんです」

 朝、目覚めたら虫になっていたというフランツ・カフカの「変身」は、「不条理小説」というレッテルが有名だ。しかし、今の時代に重ねて「引きこもり小説」として読むことだって可能だ。

 クラシック好きでも知られる著者だが、どんな読書体験をしてきたのだろうか。

「授業をさぼって、教室の向かい側にある図書室で本を読んでました。教師からも見えるんですが、『あいつはもうしょうがない』と黙認されてましたね(笑い)。難しい哲学書もエロ雑誌も、片っ端から読みました。現在の若者と接したおかげで、みんなが本好きとは限らないとわかりました。でも、理系の人も、ビジネスパーソンも、人間や社会について考えを巡らすためには、やっぱり文学の名著を読んでほしいですね」(KADOKAWA 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「NHKの顔」だった元アナ川端義明さんは退職後、いくつもの不幸を乗り越えていた

  2. 2

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  3. 3

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  4. 4

    元NHK岩田明子は何をやってもウケない…コメントは緩く、ギャグはスベる、クイズは誤答

  5. 5

    ウクライナ出身力士 安青錦がすべてを語った…単身来日して3年、新入幕で敢闘賞

  1. 6

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  2. 7

    奥さんが決断してくれた…元大関の小錦八十吉さん腎臓移植を振り返る

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    のんを襲った"後輩女優の二股不倫報道"の悲劇…カルピスCMめぐる永野芽郁との因縁

  5. 10

    Mrs.GREEN APPLEとディズニーのコラボに両ファン懸念…売れすぎた国民的バンドゆえの"食傷感"